InAequabilitas

 moneo in reticentia - audi.

CURRENT MOON

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未視感・他者性・人工意識

僕の知らぬ間に夜は更け続けて、いつしか黎明が訪れていたのらしい。暗いはずだと思い込んでいた窓にふと目をやって、空が白んでいることに驚いた。今は秋、5時半の空は明るいとは言い難く、かといって暗いとも形容すべきでない。薄汚れたような水色と何とも言えない奇妙な明るさのもとで、鳥か虫の鳴き声が車の走り去る音と共に響いている。遠くを見ると、朝霧の向こうに高層ビルが霞んで見えた。それはまるで偽物のようだった。
見慣れぬ街に迷い込んだような不安感。時折、何でもないような情景のなかに突如として小さな差異を発見し、見知らぬ世界を眼前に突き付けられたようで戸惑うことが僕にはある。それは僕ではない誰かの世界だ。他人と過ごす時ではなく、そうやって不意に日常の中の違和を垣間見る時―大抵は一人でいる時—僕は最も"他者"の存在を感じる。
概念としての他者は僕を困惑させ、思考を揺るがし、僕の内にある凪いだ水面を叩く。どうか放っておいてくれ! 彼らも僕の世界の限界のうちにしか存在し得ないのだ、それなのに何故思いもよらぬことを起こしてみせるのだろう? 僕はますます困惑する。これじゃあまるで、僕の世界はすべて嫌味なプログラマが作成したシミュレーションのようじゃないか…
ああ、けれどもそれなら僕は0と1によって記述されるデータでしかないのだ。感情も意志も、そうあると思い込むようプログラムされているだけで、実際そんなものはありはしない。他者も存在しない。僕は意識という情報の束であって、正確にプログラムに沿って動いていく。何と素晴らしいことだろう!
シミュレーション世界における"死"とはどういった概念なのであろうか。もはや誰も死ぬことは不可能なのではないか。死さえ"思い込まされて"いる。けれども主体であったものの意識が不可逆的に消失するのだから、それはやはり死なのではないか。

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北落師門

Author:北落師門
特徴: 研究者気質(何)、厭世家、人嫌い、典型的ブックワーム。
大量の学問だけで出来ていると思う。詭弁と皮肉で武装している。
目の悪さが半端ない。あと、電話と食事と世間話が天敵。
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