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アサガオで幻覚

暫く前に「脱法ドラッグ規制強化」の記事を見た。ちょっと心配になったのは僕だけではあるまい。とはいえ自分でも意外ながら、僕は未だに違法合法のどちらのドラッグもやったことはない。所持しているだけで満足である。あっ、司法関係の方が見ている場合を想定して書いておきますが僕はいかなる違法薬物も持ってません。本当に。
タバコが禁止されないのにマジックマッシュルームが禁止され、酒が合法なのにマリファナが違法になるくらいだから、そのうち僕が持っているあれやこれやも規制されることになる可能性は十分にある。それでも絶対に規制されることはないと99%程度の自信を持って言える植物がある。アサガオである。
一口にアサガオとは言っても、どんなアサガオも幻覚作用があるわけではない。そもそもアサガオと呼ぶときの定義が曖昧だ。なのでアサガオの説明から。
広義のアサガオはヒルガオ科サツマイモ属のうちの一部の植物をさす。狭義ではIpomoea nil一種のみをさす。これが小学校の時にほとんど誰もが観察日記を付けさせられたであろうあのニホンアサガオだ。子葉も本葉も独特の形をしているため、花が咲いていなくともアサガオかどうかは容易に判る。江戸時代の園芸好きな人々の執念深い改良のお陰で実に様々な花色が存在しており、その他にも桔梗咲きなど花の形が変わったもの、柳葉や斑入りなど葉が変化したもの、蔓が伸びない矮性種など、園芸の方面にとっては星の数ほどの種類がある。但し分類学的には(変種を無視すれば)やっぱりI. nil一種でしかない。
広義のアサガオにはソライロアサガオI. tricolor、モミジバアサガオI. cairica、マルバアサガオI. purpurea、リュウキュウアサガオI. indicaI. violaceaI. arborescensなどが含まれる。さすがにサツマイモI. batatasをアサガオと呼ぶ人はいないか。これらは葉の形・花径・花序などによって区別される。別属で幻覚剤として有名なハワイアン・ベビーウッドローズArgyreia nervosaは和名を実はギンバイアサガオという。因みに由来は葉の裏が銀白色になることから("銀背朝顔")。Wikipediaの長らく放置された誤植(修正しておいた)のせいか「ギンバオアサガオ」という表記がそこら中に跋扈しているが、ギンバオじゃ意味が解らない。

やっと本題の幻覚作用だが、「アサガオ」のうち幻覚剤として何とか利用できるのはI. tricolor、I. purpurea、I. violaceaだけであるようだ。i_tricolor-seeds(ソライロアサガオ I. tricolorの種子。普通の朝顔よりもやや細長い。)
このうちI. violaceaは日本ではあまりお目にかかれない多年生・夜咲という変な品種で、そもそも和名があるのかさえ判らない。しかし、I. tricolorとI. purpureaはちょうど今頃の時期に園芸店やスーパーで種子も苗も容易に手に入れることができる。いわゆる「西洋朝顔」というやつである。I. purpureaは「ドイツ朝顔」として売られていることもある。I. tricolorには、観賞用としても合法サイケドラッグとしても有名なヘブンリーブルーが含まれる。他にはフライングソーサー、パーリーゲートもI. tricolorだが、パーリーゲートはヘブンリーブルーが突然変異したものであるらしい。ところで何故か「ヘンリーブルー」と呼ぶ人がいるみたいなのだけれど、あれはHenry BlueではなくHeavenly Blueだから...。
i_purpurea-seeds(I. purpureaの種子)
これらはいずれも葉がハート型をしており、花径は中くらいからやや小振りである。ソライロアサガオとマルバアサガオは違いがあまりはっきりしないが、僕はとりあえず花の中心が黄色なのがソライロアサガオ、赤系や白なのがマルバアサガオと大雑把に見分けている。違うかもしれない。
幻覚剤としての評判はあまり芳しくないらしい。肝心の幻覚成分であるリゼルグ酸アミド(=エルジン=LSA=LAA)の含有量がウッドローズやベビーウッドローズに比べて少なく、パーリーゲートで0.02%、ヘブンリーブルーで0.035%(0.01%という文献も)に留まる。そうはいってもベビーウッドローズだってたったの0.04%である。第一にLSAの効力はLSDの5-10%ほどしかない。だがそうではあっても、LSDは50μgという極微量からサイケデリック体験が起こるため、それをLSAに置き換えてもやっぱり幻覚が起こるのはかなりの少量からなのだ。
i_purpurea/nil(I. purpurea(左)とI. nil(右)の種子の比較。西洋朝顔のほうがやや日本朝顔より小さいようだ)
2chなどを見てみると人柱になって頑張ってる人が適量を模索していたりするが、そうしなくたってとある本(Poisonous plants of California; T.C. Fuller, E. McClintock)が「200-300粒のソライロアサガオ種子は300μgのLSDと同等の効果を発揮する」と書いている。大体1粒=LSD1μgと考えてよいということだろう。もちろん種子の質にもよるのだが、実際2chの人柱たちのレポを見ると100粒で結構なサイケ体験が現れているようである。

だが、ニホンアサガオと同じく種子にはファルビチンなどが含まれているため、そのまま食べた場合腹痛と下痢は必然的に訪れる。空腹状態で摂取するなど色々な「通過儀礼」の回避方法が提示されているが、ここは純粋に化学で行こうじゃないか、異なる溶媒に対する溶解度の違いを利用して…と考えて調べ始めたら、ファルビチンがあまりにもマイナーな化合物であるために詳しい溶解度のデータが見つからない!構造式もないため極性から溶解度を推測する事も叶わない。LSAのほうは水にはあまり溶けないというが、これも詳細データはない。"Sparingly soluble"じゃ漠然としすぎているじゃないか。しかし塩基性の溶液には溶けるかもしれないとのこと。ファルビチンは少なくとも配糖体であるらしいので、多分極性は低めなのではないかと思う。ポルトガル語のあるサイトによると前述とは逆に、LSAは水やメタノールなど極性溶媒、特に酸性環境下で溶解度が高くなり、ファルビチンはベンゼンやエーテルなどの非極性溶媒で除去することができるという。ただ、僕はポルトガル語なぞ全く以て読めないのでGoogle先生に助けを求めたということを白状しておかなければならない(笑)。
純粋なLSAとしては、一度の使用量は0.6-1.0mgが推奨される。1.0mgで十分強い効果が得られるらしい。ヘブンリーブルー種子では20-50粒ほどで弱い効き目が現れる。それでも合わない体質であれば、大量に摂取しても下痢になるくらいで全くサイケ効果も出ないとか。効果が発現するのは摂取後30分程度からで、短い場合は4時間、長ければ12時間ほどトリップが持続する。
他にもLSAを含む植物はあり、例えば何度も挙げたハワイアンベビーウッドローズArgyreia nervosaやハワイアンウッドローズMerremia tuberosa、ヒルガオCalystegia pubescensなどがそれである。いずれも種子にLSAを含んでいるわけだが、ヒルガオは滅多に結実しない。但しとある人柱がヒルガオの乾燥葉を喫煙してみたそうだが、効果はとりあえずあったのらしい。試す価値はあるかもしれない...?

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