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身近な弱めの毒草

春ですね。色々な花が咲き始めて毒草の識別に便利な季節になりました。
というわけで(何が?)、道端や庭先でよく見かける・或いはそのうちよく見かけるようになる弱い毒草たちを幾つか紹介してみる。



チューリップ Tulipa gesneriana
t. gesnerianaユリ科チューリップ属の多年草。説明するまでもないくらい有名で、幼稚園児ですら知っている有名な花だが、とりあえず毒がある。球根で増やすのは種がほとんどできないからで、というのも蜜がないために昆虫が来てくれないからである。探してみたら写真が一枚しかなかった。あまりにありふれているので撮る気も失せるからかもしれない。
毒はツリピンとツリパリンで、全草特に球根に多く含まれる。普通は嘔吐や皮膚炎くらいだが、心臓毒であるともいう。これを知らない大人はいないはずで誤食こともないだろうが、幼稚園や小学校で植えていることもあるし、子供なら何でも口に入れようとするので中毒事故が起こっていても不思議ではないはずなのに意外とそのような話は聞かない。



パンジー/ビオラ Viola tricolor
v. tricolor
種名が"tricolor"(三色)なだけに三色のパンジーが写っている写真を探してみた(笑)。パンジーもビオラも分類学的は同じものだが、花径が4cmより小さいくらいのものが園芸ではビオラと呼ばれている。区別は結構適当である。見た目が豪華なのがパンジー、可愛いのがビオラという意味不明な分け方もあるそうな。スミレ科スミレ属の一年草で、耐寒性があるので花期は春だけではなく実は初冬から既に咲き続けている。ビオラのほうが開花期はやや短いが、更に育てやすいという。楕円形の根生葉は羽状の大きな托葉を持ち、縁に鈍い鋸葉がある。茎高はせいぜい10cmくらい。種から育てることも出来るが、その必要がないくらい鉢植えが大量に安く出回っている。
v. tricolor-1こういうのがビオラ。野生種は写真の左下に写っているもののように、上二枚が紫色+下三枚が黄色である。
種子や根茎にビオリン、ビオラルチンやその他のサポニン類・グリコシド類を含み、誤食すると嘔吐や神経麻痺、心臓麻痺を引き起こす可能性がある。これほど一般家庭に浸透しているのだから、子供の誤食事故が起こっていてもいいくらいなのにこちらもほとんど聞かない。



マーガレット Chrysanthemum fructescens
c. fructescens
キク科アルギランテム属の多年草。花期は3月頃から初夏までで、育てやすいので園芸店にもよく出回っている。上の写真のような品種が最も一般的だが、八重のものや色のついたものなど様々な品種がある。毒草と呼ぶと誇張なくらい弱い毒草で、植物体を傷つける時に出る汁にミニテルペンラクトンが含まれ、弱い皮膚炎を引き起こす…かもしれない…という。



ヒヤシンス Hyacinthus orientalis
h. orientalisユリ科ヒヤシンス属の多年草。花期は3-4月で、強い芳香のある花を咲かせる。この匂いを芳香と評するかどうかは人によって分かれると思うのだが…とにかくかなり強烈な匂いを放つ。普通に栽培されるダッチヒヤシンスのほか、花がやや小さく少ないローマンヒヤシンスがある。耐寒性が強く(ダッチ系のほう)、むしろ冬の寒さに当てないと花が咲かない。水栽培にすることもできる。ローマン系は自然分球しやすいが、ダッチ系はあまり分球せず増やしづらいので、増やしたければ球根を掘り上げる時に刃物で底に傷をつけて植え付けまで貯蔵しておく(但し親球は二度と花をつけない)。h. orientalis-1
鱗茎をはじめとする全草に蓚酸カルシウムを含み有毒。ブドウヒヤシンスと呼ばれる植物(ムスカリ)があるが、これは属から違っており無毒である。蓚酸カルシウムは不溶性であるため、汁などに触れるとその針状結晶が物理的損傷をもたらす。手などであれば炎症、食べれば皮膚より更に弱い粘膜にそれが突き刺さるわけだから口腔内の痛みや浮腫、酷いと嚥下困難や呼吸困難が起こる。嚥下されると食道の糜爛や胃腸炎、嘔吐、下痢が引き起こされる。だが不溶性であるからこそ体内のカルシウムと結合しづらく全身症状を起こすことは稀である。また、結晶が皮膚や粘膜に突き刺さるためには植物細胞が破壊されなければならないので、咀嚼されたり潰されたりしない限りあまり被害はない。しかし一応球根や切り花を扱う場合はゴム手袋をしておくほうがよい。扱った後はよく手を洗う。うっかり目を擦ったりすると痛いだけではなく、結膜炎や眼瞼浮腫が起こる可能性もある。早急に洗い流さなければ結晶が沈着して角膜障害を起こすこともある。



トウダイグサ Euphorbia helioscopia
e. helioscopia
トウダイグサ科トウダイグサ属の一年草或いは二年層。茎高は後述のムラサキケマンよりやや低いくらい。上の写真はこれでも花が咲いている状態。中茎では僅かに鋸葉のある倒披針形・箆形の葉が互生し、茎頂では丸みの強い箆形の葉が五輪生する。3-4月に茎頂から放射状に独特の杯状花序をなす花茎を伸ばす。雄花と雌花がある。
茎を傷つけると白い乳液を出し、これに触れると皮膚炎を起こしたり水疱を作ったりする。毒性分はユーフォルビンやタンニンで、全草に含まれている。食べ過ぎると腹痛・嘔吐・下痢・胃腸炎・心悸亢進・眩暈・痙攣を起こすが、少量では口内炎くらいで済むんじゃないだろうか。しかし根茎の場合は激しい下痢を起こすことがあるという。



ラッセルルピナス Lupinus polyphyllum
l. polyphyllumマメ科ルピナス属の多年草(宿根草)だが、暑さと湿気に弱いため一年草や二年草として扱われることも多い。茎高は50-180cmにもなり、50cmくらいの矮性種はミナレットと呼ばれる。根生葉は長い柄を持ち掌状複葉となる。4-6月に30cmほどある総状花序を成す蝶形花を多数咲かせる。花後に繊毛の生えた莢状の果実をつける。種子は非常に苦い。酸性土壌を嫌い、日当りと水はけのよいやや乾燥した場所を好む。太い根が真っ直ぐ深く伸びるので移植を嫌う。9月から10月に播種して増やす。
全草、特に種子にルピニンとスパルテインを含み、量によっては嘔吐や心臓麻痺を引き起こす。妊婦が食すると流産する可能性もあるとかどこかで読んだような気がするが記憶がちょっと曖昧だ。

l. polyphyllum seedsl. polyphyllum leaves



ムラサキケマン Corydalis incisa
c. incisaケマンソウ科キケマン属の二年草。茎高20-50cmほどで、半日陰を好む。葉は複葉となり、鋸歯を持つ。花期は4-6月頃。赤紫色の花冠は筒状で、長さは約2cmである。地下に塊茎を持つ。茎を折ったりすると悪臭のする汁が出る。6月頃に結実し、莢状の果実から黒い種子をまき散らす。
全草にプロトピンを含み、嘔吐・眠気・呼吸麻痺や心臓麻痺が引き起こされる可能性があるが、普通に誤食する程度では毒性は弱い方と言える。ウスバシロチョウの幼虫の食草となっており、成虫のウスバシロチョウも全身に毒を持つ。

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Comment

2012.07.02 Mon 22:58  花壇の毒

トリカブトや夾竹桃など有名な強毒では無くとも、花壇や公園などに植えられている身近な草花に毒があるっていうのも知ってはいますが、このように一覧で拝見すると面白いものですね。

以外かも知れませんが、トウダイグサ科は毒草が多く、中には矢毒や魚毒に使用されていたものもあるそうです。

また、身近な毒草を紹介して下さい。

2012.07.03 Tue 17:57  

他にもネタはあるといえばあるのですが、写真が微妙だったり情報が少なかったりしてこの記事にはこれだけしか書いていません;;

トウダイグサ科は毒草多いですよね。あのトウゴマもトウダイグサ科です。トウダイグサ属に至っては、むしろ毒でないものを見つける方が至難の業。
このブログにまだ書いていないもので写真があるのがまだ4,5種あるので、そのうち書くかも知れません。
最近トウダイグサ科のアブラギリとナンヨウアブラギリの種子を入手しましたが、アブラギリの種子が結構大きいです。径2.5cmくらい。
アブラギリはこう見えて花がかなり綺麗ですよ。この発言僕らしくない(笑)
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2012.07.03 Tue 23:51  RE;アブラギリ

へえ~。アブラギリとは珍しい種子を入手されましたね。
アブラギリと言えば、バイオディーゼル絡みで栽培面積が増えているそうですね。
油を採る熱帯植物としてはアブラヤシの方が有名ですが、アブラギリは
肥料が無くとも果実が採れるとの事。
今後はより入手しやすくなるのかも知れませんね。

>アブラギリはこう見えて花がかなり綺麗ですよ。この発言僕らしくない(笑)
検索して写真を見ました。本当に綺麗な花ですね。毒性の強い植物にはトリカブト・キョウチクトウ科・ツツジ・ジギタリス・そしてゲルセミウム・エレガンスと綺麗な花が咲くのが多いですね。とっても興味深いです。

私が興味を持つトウダイグサ科は、ヤドクキリン(矢毒キリン)です。
文字通り、矢毒として使われます。

2012.07.04 Wed 17:23  

僕の入手先も採油のため広面積で栽培する業者向けの所でした。そのため販売単位は粒でなくグラム。本来100g単位だったのですがさすがに多いので、交渉して40gにしてもらいました。
この間のトウアズキ500gに懲りた。。さすがに多くても何もできないです。植物栽培は致命的に下手ですし。
植物園で成木も見たのですが、花が咲いていない時期だと単なるゴツい樹で、いかにも産業用途に栽培される雰囲気です。
ナンヨウアブラギリもバイオディーゼル燃料の原料として注目されています。こちらは旱魃に強いのは良いのですが、土地が肥えていないとあまりよく育たないようです。

毒草は普通の形をした美しい花を咲かせるものが多く、更に変な・或いは毒々しい形をした花になると逆に毒なものが少ないように感じられます。
花が物凄く変なのに無毒なものは思い付く所ではEnkianthus属やCelosia属、Callistemon属など?とはいえケマンソウなども十分変ではありますが(笑)。

ヤドクキリンの画像を検索してみてみたら、何この攻撃的な棘の塊。というのが第一印象でした。。。
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2012.07.04 Wed 23:28  トウダイグサ科の毒

もしアブラギリの実を大量に買ったなら、燃やして遊ぶのも一興かも知れません。昔は松明にしたそうです。
アブラギリの実の燃焼実験中
http://www.youtube.com/watch?v=TP4olmln8f0

後、アブラギリの実は、海岸に漂着する事が多いそうですね。


>この間のトウアズキ500gに懲りた。
流石に500gは多すぎますね。発芽率が落ちない内に、栽培して室内インテリアにしては如何でしょうか? (笑)


それと、トウダイグサ科で毒の強いものに、ハズCrotun tigliumがあります。
場所によっては矢毒として利用されました。ハズ油の原料として栽培されているので、入手が容易だと思います。
毒コレクター?の北落師門さんにお勧めかも?

2012.07.05 Thu 19:33  

さすが燃料だけあってよく燃えていますね。燃やせそうなものはほかにトウゴマがありますが、これは勿体無い。
アブラギリも海岸に漂着するものですか。オオミフクラギやミフクラギはよく流されてくるそうです。海が遠いので確かめようもないですが;;

500gにもなると、トウアズキは小さいですから数千粒もあることになります。これを全部植えられたとしたら畑レベルでしょう。それも1ヘクタールくらいの!
日本で自生しているのは西表島の辺りだそうですし、チョウセンアサガオを発芽させるのにも苦戦する僕が東京でトウアズキを育てるのは難度が高すぎるようです...

ハズは探した事もあるのですが、何故かなかったんですよ。日本はどうかとちょっと期待を抱いて検索をかけてみましたが、ヤフオクも楽天もやはりない。当り前か。(笑)
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