InAequabilitas

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科学対宗教

科学と宗教とは果たして両極端に位置するものなのか。一見した所ではそうであるように思えるかもしれない。しかし各々の根幹を突き詰めてゆくならば、実はそうではないように見受けられる。
双方に共通している主要な目的は、①事象を解説する②世界観を形成する、の二つである。①にはたとえば「なぜ雷が鳴るのか」等の"客観的"問題と「なぜ私はこういう目に遭うのか」の類の"主観的"問題とが含まれる。②は思想体系ともいえよう。それに則って今から自分はどう行動すべきであるのかとの決定を下すための基準を与えることである。つまり、科学と宗教はその目的(性質)を等しくするのだ。ならばなぜこうも"違って"いるのだろうか。
科学と宗教の間における最も根源的かつ最も相容れぬ相違はその前提条件にある。前提条件とは、(各思想体系に属する者により)疑われたり正当性を吟味される事なく無条件に全てを導き出す基礎になっているものと考える。宗教においてのそれが"神の存在"であることは理解し易いが、科学においては帰納法と数学なのである。
さてこれが周囲(無神論者にしろ有神論者にしろ)に一番理解してもらえない主張なのだが、とりあえず考えてみればよい。無神論者が宗教を荒唐無稽だというのは、基本的には有神論者があらゆるものの準拠とする"神の存在"に対する証明がないからだ。一部の熱狂者を除いて、大抵の有神論者もそれが宗教の一大弱点だと感じ、科学に"依拠"した誤謬だらけの証明を必死に並べ立てようとする。しかし全く無駄な試みに終わるのは目に見えている。論理学のうち誤謬・詭弁の一種に"隙間の神"論法というものがある。科学で解釈し難い事象は何でもかんでも"神の御業"にしたがる証明のことだ。暫く前にとある有神論者で理論物理学者の著者が、なぜ自分はそれでも宗教を信じられるのかというような主題で書いた本を読んだ事があるが、彼の主張は最終的に「科学では宇宙の創成はどうしても解釈できない。それはやはり神がこの世界を創ったからなのだ」という一点に落ち着く。これも一種の典型的な"隙間の神"論法である。
一方科学が依拠しているのは先に述べたように帰納法と数学であるわけだが、果たしてそれらにもっともな根拠はあるのか。たとえば科学法則は全てその二つに則って成立している。観察の結果何かがこれまでずっと起こったから、或いは数学的にこれが証明できるから、これからもこれは起こり続けるといった具合である。だが帰納法の根拠はどこにあるのか。自明の理に思えるかもしれない。自明の理でも、対応する証明が存在していてその証明が嫌というほど巷に浸透している場合はいいのだ。「四角形の内角の和は360°」などのように。しかし帰納法を証明する事はできるか。
数学に対しても同じ事が言える。たとえば自然界に真円は存在しない。満月、瞳孔、円状のものを挙げていけばきりもなく存在している。だがそのどれ一つとっても、厳密に数学的な意味での真円ではないのだ。ではなぜそれらを見て、それどころか齧りかけの煎餅を見てさえも「円」と認識できるのはなぜか、これは現象学の扱う問題で追究し出すと激しく混乱してくるからとりあえず今は脇に置いておく。とにかく数学に根拠はない。何かを定義しようとすれば同語反復になってしまいかねない。最も簡単な例では"1"を定義せよという場合、大概「たとえばここにリンゴが一つあって…」などと苦し紛れに絞り出してみるのが落ちである(「一つ」を使った時点で反則!)。
要約すると、科学にとっての論理学と数学は宗教にとっての神と同じく、疑ってしまえば世界観が基礎から崩壊してしまうものであり、実は「そう解釈しておくとうまく行くから」以外に論拠はないのである。
それでは何に依拠すればよいのだろうか。何にも根拠はないから何にも依拠しないというわけにはさすがに行かない。拍子抜けされそうだが、結局は全て個人の選択に委ねられる。どちらが受け容れ易いか、またはもっともらしいか、或いはどちらが好みかなどという理由に落ち着いてしまう。身も蓋もない物言いであるのは判っているのだが、どうにもましな解答を出せるようには思えない。
因みにかく言う僕は科学主義の無神論者である。

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北落師門

Author:北落師門
特徴: 研究者気質(何)、厭世家、人嫌い、典型的ブックワーム。
大量の学問だけで出来ていると思う。詭弁と皮肉で武装している。
目の悪さが半端ない。あと、電話と食事と世間話が天敵。
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