InAequabilitas

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イラクサ

イラクサはイラクサ科イラクサ属の多年草で、漢字で書くと刺草となる。本来蕁麻と書いてもイラクサとは読まずジンマとそのまま読んでやるのが正しいのだが、どうもそれでイラクサと読まれているふしがある。英語名はNettleで学名はUrtica thunbergiana。英語で"be on nettles"とは、不安でたまらない様子を表す。因みに台湾では「咬人猫」「咬人蕁麻」と呼ばれているそう。特性をよく表した名称だと言えるが、猫って何だ。
日本・中国大陸・台湾に自生する。ヨーロッパなどによくあるセイヨウイラクサはまた別の種で、すべて引っ括めてイラクサと呼ばれることもあるが、「イラクサ」はU. thunbergianaの標準和名なのでここでは何も付かないイラクサの方を説明する。また、日本にはムカゴイラクサやエゾイラクサという種なども分布しているが、別属である。
茎高30-50cmで茎は四角いのらしい。僕が見たときは気付かなかったけども。あと僕が遭遇した個体に50cmなどという平和な高さに収まるものはなく、どいつもこいつも1mはあろうかという巨体ばかりだった。
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毎年6-9月には花も咲く。本体と釣り合うくらいに地味な花で、円錐形につく。
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そしてイラクサとくれば最も重要なのが「棘」。バラだとかチョウセンアサガオの実についているようなただのトゲなどではなく、見た目はそれらより脆そうだが、その脆さがまた鍵なのだ。葉や茎に産毛のようにも見える棘がびっしりと生えており、二酸化ケイ素でできた棘は触れた途端に折れてしまう。そして破片は皮膚の中でさらに砕け、棘の中の毒液がじゅるじゅる流れ出すという仕組みである。
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毒液の主成分はヒスタミン、アセチルコリン、セロトニン。しかしこれらを単体で皮膚に塗り付けても痛みは感じられない。イラクサの痛みの謎を解明したのはケンブリッジ大の生理学者N.エメラインとW.フェルトベルクで、ヒスタミンとアセチルコリンを混ぜて皮膚に塗り付けると痛みを感じるということが明らかになった。
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棘一本あたりの毒液の量は0.008mLで、皮膚に入り込むのは0.003mLという。とは言っても、写真を見れば判るように人間の手に触れるような面積には何万本もの棘が生えているのが普通だ(写真は果敢な同行者に手を並べてもらったところ)。僕が訪れたのは中国雲南省の山だったのだが、地元の人々はイラクサを見たとたん「あれには絶対触るなよ!」と喚いてくれる。「おおイラクサじゃないか!でかい!」と僕が感動して近づいていくと、「お前イカれてんのか」と呆れられる。葉でも採集しようとイラクサの大群の前でハサミを取り出していたところ、牛2頭を連れた農民が超怪訝そうな目でこちらを見て立ち止まっている。「俺は植物学者だ!」とか何とか適当なことを言い(僕は老けて見えるのであながち戯言にも聞こえないのだ)、そうしてやっと納得してもらった。それくらい陰険な植物なのだ。ぎゅっと握ってやりたい衝動に何度も駆られたが、後が悲惨だろうなあと考え、断念。単純に臆病なだけであるとも言う。
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10/5 2011追記
おそらく同属の別種(Dioica)と思われる写真を二枚発掘。
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北落師門

Author:北落師門
特徴: 研究者気質(何)、厭世家、人嫌い、典型的ブックワーム。
大量の学問だけで出来ていると思う。詭弁と皮肉で武装している。
目の悪さが半端ない。あと、電話と食事と世間話が天敵。
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