InAequabilitas

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不真面目のすすめ

題からして筆者はちゃらんぽらんな奴であろうと推測されるだろう。しかし僕が言いたいのは「みんな一緒に不良になろう!」という事ではない。推測を裏切って申し訳ないが(苦笑)、僕は自身の完璧主義・真面目さに苦しめられている人間だ。
と告白すると、真面目である事に悩むなんてずいぶんと贅沢なもんだと切り返されるのが常。しかしこの強迫観念にも近い何かは実に重い。そして(予想に反するかもしれないが)全く効率的ではないのである。

真面目に講義を聞こうと思っても気付いたらうっかり寝てしまっている学生の苦悶はよく判っているつもりだ。僕自身、中学を卒業するまで(留学するまで)はクラスでも指折りの不真面目生徒だったわけで、「今度こそは聞かねば」と意を決して授業に臨んだりしたのだが、知らぬ間に寝てしまい結局起きてみたら授業が終わっていた、という毎日の繰り返しだった。だから寝ようとして寝ているわけではなく(或いは内職しよう/私語しようという強固な意志があるのではなく)、生理的にただそうなってしまうのだということをよく知っている。まああの時でも私語は許容範囲になかったのだが、それは別に良い。とにかく全く以てそれと同じように、ただ生理的に真面目になってしまうことがあるという事実を認識しておいてもらいたい。

ところで完璧主義の何が非効率的なのか。そりゃあ身を入れてすべき事をなせば成果はありますとも。しかし真面目さと成果もラッファー曲線で表せてしまいそうだ。ラッファー曲線とは、現在では存在感の薄いサプライサイド経済に関連した概念で、横軸に税率、縦軸に政府の税収をとったグラフである。右肩上がりかというとそうではなく、ある臨界点を境にして税収は落ちていく(税率が高すぎると消費が減るため)。同様にして、ある一定の程度までは真面目さとその成果は比例するが、それを超えれば一直線に落ちていく。
これは複数の側面から説明することができよう。健康(体力)・脳科学・心理学・現実等々。
人間には休息というものが重要である。超重ノルムを処理―それもすべて完璧に―するには相当の時間が必要であり、当然削られるのは休息時間だ。すると十分に休めていないので集中力は散漫になり、疲労は蓄積し、また課題に取り組む姿勢も不機嫌そのものとなる。ゆえにそれを終えるのにさらに時間がかかり、また同じことを繰り返し…。まさにデフレスパイラルにも似て(笑)。
または学生であって講義を聞くという場合、まるごとそれ全てをまともに消化しようとすればその情報量は厖大なものだ。よって学生の脳内は過大な情報量を与えられたCPUが如く、「動いていながらしかし動いていない」状態となる。そうすれば僅かにあったほうがずっとましだったような事になり、当然ながら非効率的である。
また、現実にはそれほどの完成度を求められていないタスクでも完璧主義者は(できうる限り)傷一つなく遂行しようとするので、やたらと労力は消費しても相手は見てすらいない、という状況も発生する。まことに時間と労力と(時には)金銭の無駄である。

如何なる状態が理想なのかと考えてみるに、「完璧寄りの中途半端」が丁度いいのかもしれない。この問題に限らずあらゆるものにこれが言えよう。極端すぎるのもよろしくない。かといって某元首相のような、何でもかんでもど真ん中の態度ならいいだろうというのも使えない。どうせ偏るなら良い方へ。
宗教、政治、はては言葉づかい。たとえば何とか教の原理主義者だの、極右/極左だのは動ける範囲があまりに狭すぎてどうにもしっくり生きられない。周囲と摩擦を起こすのはまあ当然だが、それは勝手にすればよろしい(僕自身が社会に溶け込めないからという理由のみでだが)。それより自らの信念と確信とがずれてきてしまう場合、彼らはどうするのか。おそらく自分が正しいと感じる方を犠牲にして「規範」に乗ってしまうのではあるまいか。
言葉づかいなら敬語があげられよう。いまどきは丁寧語と超基礎的な尊敬/謙譲語さえマスターすれば無礼にはならない場合がほとんどだ。そんな社会に、一文字目から最後の句点まで完璧すぎて難解な尊敬語/謙譲語を使う「必要性」はない。(逆にその文章を一回で理解できたら凄いかも知れない。)

8割の真面目と2割の不真面目、おそらくその程度が理想的だろう。しかし悲しいかな、不真面目な者は真面目になれず、真面目な者も不真面目になれないものである。
…だから生産可能性フロンティアの縁には永久に辿りつけないというわけか。

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Author:北落師門
特徴: 研究者気質(何)、厭世家、人嫌い、典型的ブックワーム。
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目の悪さが半端ない。あと、電話と食事と世間話が天敵。
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