InAequabilitas

 moneo in reticentia - audi.

名詩選―『八時』

He stood, and heard the steeple
Sprinkle the quarters on the morning town
One, two, three, four, to market-place and people
It tossed them down.

Strapped, noosed, nighing his hour
He stood and counted them and cursed his luck;
And then the clock collected in the tower
Its strength, and struck.

- Eight O'Clock / Alfred Edward Housman



英国の詩人A.E.ハウスマンの作品。絞首刑に処される若者を詠んだ詩である。
これが…僕は好きでどうしようもないのだが。
きっとこれは秋の情景で、空は晴れ空気は冷たく澄んでいるのだろう。人が一人死のうとしているというのに、市場は変わらず賑やかで、時計は変わらず時を刻む。過去の罪を背負って殺される彼は、独りそんな運命を呪っている。
死を急かすような鐘の音が―ああ確か、僕の鐘声の幻聴もこの詩に出会った後から始まったんだ。まあそれはよい。
押韻というのもなかなか好きで、たとえばポーの大鴉(The Raven)も愛読、というか愛朗読している。僕は革新的と見せかけつつ芸術においてはアカデミックなので、文学でもちゃっかりシェイクスピアなんかが好きだ(そして関係ないが、悪役が好きだ)。
人が生きても死んでも世界は全く変わらないのだ。解り切っていることだし、変わることを望みもしない。しかし、なんと虚しいことか。時は死を急かし、何者もそれには逆らえない。罪を悔いる時間も与えられなかったこの死刑囚の懊悩がこの詩をいっそう美しく見せている。なんという悲しい皮肉か。
彼は立ち、鐘の音を聞いた
朝の街に降り注ぐ15分毎の時の鐘
一つ、二つ、三つ、四つ、市場へとそして人々へと
尖塔は鐘声を投げつけた

縛られ、縄を掛けられ、時は迫る
彼は立ち、鐘を数え、自らの運命を呪う
そして時計塔がその力の限りを集め
最後の鐘を打ち鳴らした

―『八時』アルフレッド・エドワード・ハウスマン
(拙訳)

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Author:北落師門
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