InAequabilitas

Date : 2011年12月22日

CURRENT MOON

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クリスマスローズ

クリスマスの花というと僕はどうしてもポインセチアが出てくるのだけれど、クリスマスローズHelleborus nigerも地味に人気なようだ。とはいえ花屋で売られているのはほとんど同属別種のレンテンローズHelleborus orientalisのようである。だから実際クリスマスに咲いている事もあまりない(レンテンローズは早春から春先に花が咲く)。元祖のほう(?)は花色が白しか存在しない。とはいえ、白から紫色に徐々に変化していくのらしい。タイトルこそクリスマスローズと書いてあるが、この写真も実はレンテンローズだ。
helleborus_orientalisキンポウゲ科クリスマスローズ属の多年草。属名の"ヘレボルス"で出回っていることもあるらしい(この属名の原義は「死に至らしめる食べ物」なのだが…)。種名のnigerは黒色の意で、これは根などが真っ黒であることから付けられている。花弁に見える部分は花弁と見せかけておいて実は萼で、そのため結実が始まっても、それどころか種が弾けても"花弁"は落ちずに残っているままであることが多い。花弁は蜜腺として残っており、これが発達している種もある。葉は根生し、掌状複葉で光沢があり、縁には細かい鋸葉を持つ。茎高は80cmほどにもなる。クリスマスローズ属の原種は20-30種ほどあり、有茎種と無茎種に分けられる。園芸植物として人気なため、交雑種はかなり多くが存在する。たとえば下はダブルホワイトと呼ばれる交雑種である(はず)。
helleborus_orientalis-doublewhiteかつて民間療法で下剤・堕胎剤・麻酔・狂気(鬱、ヒステリー等?)の治療[1]等に用いられていたこともあるが、「死に至らしめる食べ物」と呼ばれていたことからしても毒を持っていることは周知のことであった。毒成分は強心配糖体ヘレブリンとキンポウゲ科の有毒植物にならほとんど必ず含まれているプロトアネモニン、そしてラヌンキュリン。プロトアネモニン(別名アネモノール、ラヌンキュロール)は植物体が傷つけられた時などに配糖体であるラヌンキュリンから酵素によって生成される。さらにプロトアネモニンが空気や水に触れると重合して二量体のアネモニンを形成する。アネモニンが加水分解されると無毒なカルボン酸(アネモニン酸というようだが...)になる。そのため、プロトアネモニンを含む植物は乾燥させると毒性が低下する。

ranunculin
↓ ブドウ糖が取れる
protoanemonin
↓ 単量体が二つ重合
anemonin
↓ 加水分解
carboxylic_acid
クリスマスローズの茎等から出る汁液に触れると、プロトアネモニンの作用によって皮膚炎や水疱が引き起こされる。更に植物体を摂取すると、嘔吐に加えてヘレブリンの作用のために不整脈や眩暈が起こり、重症では心臓麻痺に至る。ガリア人はこれを矢毒として用いていた。薬用として使用されていたのはたいがい根の部分で、焼け付くような味のものが最上とされていたそうである。
helleborus_orientalis-1

[1]: 実際に狂気に効果があるというよりは、この植物の持つ催吐作用や下痢を起こさせることから体内を浄化すると考えられていたためである。

追記:クリスマスを満喫する予定のリア充はこれでも食らえ!

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Irony, Satire and Truth

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北落師門

Author:北落師門
特徴: 研究者気質(何)、厭世家、人嫌い、典型的ブックワーム。
大量の学問だけで出来ていると思う。詭弁と皮肉で武装している。
目の悪さが半端ない。あと、電話と食事と世間話が天敵。
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