InAequabilitas

Date : 2011年02月

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Todestrieb

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午前二時

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内向人肉嗜食

カニバリズム(人肉嗜食)はたとえばレクター博士のお陰(?)で随分と有名になったが、そのほとんど全てが他人に対するものであるため、なんだか必ず犯罪学的な関心を帯びてくる。ところでじゃあ自分を食うというのはどうだろうか。自傷と同じく罰するわけにもいかんのである。僕としては別にいいんじゃないかとか思うんだが(待て)。
食人行為の動機には三種類ある。一つ目は極度の飢餓(ナント・パラードドナー隊など)、そして二つ目が「食ってみたかった」的な理由によるもの。佐川一政アルミン・マイヴェスなどが代表格か。そして最後に、変わったところとしては経済目的での食人だろう。ヨアヒム・クロルカール・デンケ以外には知らないが、デンケは肉不足から生じるインフレを食い止めようと浮浪者を殺して缶詰にしていたそうである(私が供給を増やせば肉の価格は下がる、そして町の人々も喜ぶ!)。しかもやたらと几帳面で、どんな人間の肉が美味いか、塩加減はどれくらいかなど細かくメモを取っていたというからもはや感動的。それどころか「仕入帳」まで付けていたため(氏名・年齢・性別・人種・体重・死亡年月日・仕入れにかかった費用を記入)、ほとんど調べずとも犯行の全貌が分かったんだとか。クロルも食費を浮かすために人肉を食べていたらしい。因みにウィキペディア日本語版に載っている食人者の一覧はここ。あと殺人博物館に載っているものはこれ

古代ギリシアの神話にエリュシクトンという王がいる。彼は女神デメテルの怒りを買って(彼女の聖林に生えていた木を伐ったため)飢餓に取り憑かれ、国にある全ての食糧を食べ尽くしても飢えが収まらず、結局娘を連れ斧を持って旅に出る。金まで底を尽きてしまったため彼は娘を売るが、彼女はポセイドンに祈って変身能力を手に入れる。その後売られるたびにカモメに姿を変えて父の元に戻ってくるというのだが、最終的に彼女と同じような変身能力を持つ若い男に売られ、娘は彼の元に留まってしまう。娘を幾ら待っても戻ってこない王は極度の飢えに悩まされ、そしてふと自分のよく肥えた手に気付き、思わず食ってしまう。食っても食っても止められず、最後には唇だけが残り、その唇も自身を呑み込んでエリュシクトンは完全に消滅してしまった。(ついでに言うと、そこでやっと女神の怒りは解け、彼女は王の娘とその夫に幸福な暮らしをさせたという。)
ギリシア神話にはなかなかブラックユーモア的な雰囲気の話がよくあるが、これはその中でも傑出して興味深い話ではないか。自らを貪って消滅してしまう王!それも神の下した罰で。
それから僕のお気に入りの詩のひとつにフォルヌレの詩集「詩でも散文でもない水蒸気(Vapeurs, ni vers, ni prose)」に収められた「恥を知る貧乏人(Un pauvre honteux)」というのがある。これも内に向かう食人行為を見事に表現している。文体の異常な軽さがまた不気味である。原文は追記に。因みに原文は声に出して読んでみると結構楽しい(笑)。

穴のあいたポケットから
引っぱり出して、
目の前に置いた。
つくづく眺めて、
「かわいそうに!」と言った。

湿った口から
息を吹きかけた。
ふっと心をとらえた
おそろしい考えに
ぞっとした。

溶けて流れた
氷の涙で
濡らしてやった。
大市場よりももっと
隙間だらけの部屋だった。

ごしごし擦ってやったが、
一向に温まらず、
ほとんど感覚も失せていた。
刺すような寒さに
かじかんでいたからだ。

ある思いつきを吟味するように
宙にかざして
吟味した。
それから針金で
寸法を測った。

皺の寄った唇で
触れてみた。―
物狂おしく
こう叫んだ、
「さようなら、接吻しておくれ!」

唇に押しつけた。
それから捩子のゆるんだ
重苦しい音を出す
腹の時計の上で
組み合わせた。

殺すことに意を決めた、
片一方の手で
そっと触れた。
―そうだ、たとえ一口でも
腹の足しにはなるぞ。

ぽきりと曲げた、
へし折った、
目の前に置いて、
ちょん切った。
水で洗って、
運んでいって、
こんがり焼いて、
食ってしまった。

―まだ子供の頃、彼はよく聞かされていたのだ、
「ひもじくなったら、片方の手を食うがいいよ」と。

(『恥を知る貧乏人』グザヴィエ・フォルヌレ、澁澤龍彦訳)

喜劇と悲劇

一昨日モリエールの「人間嫌い」を読んだのだけれどやはりなぜこれが喜劇なのかが分からない。アルセストに同情するとかいうわけではないが何で喜劇なのかが分からないだけだ。彼の「計画」通り大人しく隠遁してしまえればまだ救いもあるが、どうもその「計画」も(フィラントなどに)ぶち破られそうな予感が漂っている。そうすると彼は結局また地獄のような社交界に引きずり戻されることになる。途方もない悲劇じゃないのか。

あとどうでもいいけれど最近1日2冊くらいのペースで本を読んでいる。2冊とはだいたいの場合、一般的な文庫本+一般的な新書。こないだ日本に行って50冊くらい買って帰ってきたから(苦笑)。クソ忙しいのに何やってんだか自分でもよくわからない。そのうえ更に調子に乗って前読んだ本も合わせて読み直したりしている。しかしこんな速度ではちゃんと消化できている気もしない。

サティの曲

エリック・サティ(ジムノペディの人)の変な題のついた楽曲リスト

4つの尖弓形 (ピアノ曲、1886年)
薔薇十字教団の最初の思想 (ピアノ曲、1891年)
「至高存在」のライトモティーフ (ピアノ曲、1891年)
天国の英雄的な門への前奏曲 (ピアノ曲、1894年)
冷たい小品 (ピアノ曲、1897年)
世俗的で豪華な唱句 (ピアノ曲、1900年)
夢見る魚 (ピアノ曲、1901年)
梨の形をした3つの小品 (ピアノ4手連弾、1903年)―第1曲: 始まりのようなもの 第2曲: 同じものの継続 第3曲: 小曲I 第4曲: 小曲II 第5曲: 小曲III 第6曲: 繰り返し(おまけ) 第7曲: もう一度繰り返し
私は友人がいた (歌曲、1904年)
壁掛けとしての前奏曲 (ピアノ曲、1906年)
新・冷たい小品集 (ピアノ曲、1906年?)
悪い手本 (ピアノ曲、1908年)
快い絶望 (ピアノ曲、1908年)
不愉快な概要 (ピアノ4手連弾、1908-1912年)
シャツ (歌曲、1909年)
馬の装具で (ピアノ曲、1911年)
犬の前奏曲 (ピアノ曲、1910/1912年頃)
犬のためのぶよぶよとした前奏曲 (ピアノ曲、1912年)―第1曲: 内奥の声 第2曲: 犬儒学的牧歌 第3曲: 犬の歌 第4曲: 友情を持って
犬のためのぶよぶよとした本当の前奏曲 (ピアノ曲、1912年)―第1曲: 厳しい叱責 第2曲: 家にひとり 第3曲: 遊びましょう
裏話 (ピアノ曲、1912年)
自動記述法 (ピアノ曲、1913年)―第1曲: 船について 第2曲: ランプについて 第3曲: かぶとについて
はた迷惑な微罪 (ピアノ曲、1913年)―第1曲: 大頭の友達という存在をやっかむ 第2曲: 彼のジャム付きパンを失敬する食べ方 第3曲: 輪回し遊びの輪をこっちのものにするために彼の足の魚の目を利用すること
胎児の干物 (ピアノ曲、1913年)―第1曲: ナマコの胎児 第2曲: 甲殻類の胎児 第3曲: 柄眼類の胎児
あらゆる意味にでっちあげられた数章 (ピアノ曲、1913年)―第1曲: おしゃべりな女 第2曲: 大きな意志を運ぶ者 第3曲: 閉じ込められた者たちの嘆き(ヨナスとラチュード)
でぶっちょ木製人形へのスケッチとからかい (ピアノ曲、1913年)―第1曲: トルコ風チロル部局 第2曲: 痩せた踊り 第3曲: エスパニャーニャ
コ・クオの少年時代(母親の忠告) (ピアノ曲、1913年)―第1曲: ココアを指につけてなめちゃだめよ 第2曲: 耳もとでこそこそ話してはだめよ 第3曲: 頭の上に手を乗せるのはやめなさい
スポーツと気晴らし (ピアノ曲、1914年)
世紀ごとの時間と瞬間の時間 (ピアノ曲、1914年)―第1曲: 有害な邪魔者 第2曲: 朝の黄昏 第3曲: 花崗岩の狂乱
3つの恋愛詩 (歌曲、1914年)―第1曲: 僕は砂粒でしかないけれど 第2曲: 生まれつきの禿 第3曲: あなたのアクセサリーは隠れている
いやらしい気取り屋の3つの高雅なワルツ (ピアノ曲、1912年)―第1曲: 彼の容姿 第2曲: 家に彼の鼻眼鏡 第3曲: 彼の脚
5つのしかめっ面 (サーカス劇、1914年)
右と左に見えるもの(眼鏡なしで) (室内楽、1914-1915年)―第1曲: 偽善的なコラール 第2曲: 手探りのフーガ 第3曲: 逞しい幻想曲
最期から2番目の思想 (ピアノ曲、1915年)―第1曲: 牧歌 第2曲: 朝の歌 第3曲: 瞑想
官僚的なソナチネ (ピアノ曲、1917年)
再発見された像の娯楽 (室内楽、1919年頃)
組み合わされた3つの小品 (管弦楽、1919年)―第1曲: バンダグリュエルの幼年時代の夢 第2曲: コカーニュの行進(桃源郷の行進曲) 第3曲: ガルガンチュアの遊び
猿の王様を目覚めさせるためのファンファーレ(いつも片目をあけて眠る見事に肥えた) (室内楽、1921年)
『にわか医師』のためのレチタティーヴォ (1923年)
家具の音楽 (管弦楽、1923年)―第1曲: 県知事の私室の壁紙 第2曲: 煉鉄のタペストリー 第3曲: 音のタイル張り舗道
潜水人形 (歌曲、1923年)―第1曲: ねずみの歌 第2曲: 憂鬱 第3曲: アメリカ人の娼婦 第4曲: 詩人の歌 第5曲: 猫のシャンソン
本日休演 (バレエ音楽、1924年)
不思議なコント作家 (ピアノ曲、?)
ピエロの夕食 (ピアノ曲、?)
野蛮な歌 (ピタノ曲、?)
皿の上の夢 (ピアノ曲、?)
薔薇の指への夜明け (ピアノ曲、?)
神の赤い信条 (歌曲、?)

Irony, Satire and Truth

Biography

北落師門

Author:北落師門
特徴: 研究者気質(何)、厭世家、人嫌い、典型的ブックワーム。
大量の学問だけで出来ていると思う。詭弁と皮肉で武装している。
目の悪さが半端ない。あと、電話と食事と世間話が天敵。
Detail/本棚

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