InAequabilitas

Date : 2010年11月

CURRENT MOON

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海外留学に関して

中国人の知人に聞いた情報。中国では大学入学統一試験(『高考』)の受験人数がこの頃大幅に減少しているらしい。理由はあの一人っ子政策のせい…ではなく、<減少分>が欧米やオーストラリアに留学に行ってしまうからだという。もっとも、優秀すぎて中国が物足りないというような学生は少数であり、大半は『高考』の点数が捗々しくないので、国外に行く事で面子を保とうとしている学生である。国外に行って何を学ぶかと言うと、芸術だそうだ(笑)。TOEFLやSATの点数に対する要求が甘く、あんまり高等な英語を使わず、それに点数が悪くても「教官と審美感が異なっている」で言い訳できる唯一の科だから…。
中国人に限らず、東アジア地区の国民の多くが抱いている幻想のひとつに「欧米の教育水準はアジアより高い」というものがある。日本の大学の事はよく解らないから大学の比較は僕にはできないが、中高では決してそうとは限らないと言える。
まず、数学は絶対にアジアのほうが強い。教科書だけむやみにデカい(電話帳みたい)ので、何かとても偉そうな事を勉強しているように見えるが、日本のゆとり教育を一字一句違わず実践しているような公立校とさして変わらない事をやっている。たとえばアメリカの大学進学適性検査であるSATにはIとIIがあり、Iは英語ふたつと数学ひとつに分かれるが、その数学の問題を見てみればいい。分数のかけ算、一次関数、円の面積、云々。その上に選択制。仮にも大学進学適性検査ですから。
勿論欧米人でも出来る人は本当によく出来る。ただ高校から焦って留学しに行くのもどうかと思うだけ。しかし確かに、教育方針は「みんな一緒に成績を伸ばそう」というアジアと違う。最優先にすべき項目はカリキュラムの内容ではなく<合っているかどうか>。何かとてもありふれた事を言ったが、本当である。好きか嫌いかではない。(これは不思議なもので、嫌いだが合っているというのは矛盾しない。僕の高校がそうだったから。)またいきなり環境が変わるというのもかなり負担になるもの。国内の移動でも子供にはかなり重荷になるのに、突如として海外に飛ばされたら死にたくなること請け合いである。テレビか何かで、「友だちの見舞いに行こう」と娘を騙して職業学校だか訓練所だかに入れさせた酷い親の話を観たが、ああいうのは言うまでもなく論外だ。いくら自分の子供のためと思っていても、本人が望まなければ意味がない。たとえ<幸福>であれ、なすりつけは許されない。
同じように、親の面子や都合のために子供に相談もなく留学させるのはもってのほか。本人がぼんやり同意していても、はっきりした同意が得られるまで決定は控えるべきだ。留学はあなた方が思うよりずっと壮絶なのである。

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凡愚を解剖する

単なる戯言というか、ぼやきというか

言語教育と学習について

外国語の早期教育というのに僕は賛成だが、しかし早期過ぎるのもまた考えものだと思っている。いや早期過ぎても構わないが、「日本にいれば日本語は喋れるようになるだろう」という思い込みは、実は間違っているのである。

アメリカン・スクールやインターナショナルスクールでは全ての授業を英語で行う。もちろん現地語の授業もあるが、「日本語」とか「ドイツ語」という感じで、いわゆる「国語(読解なんかをやったりするもの)」はやっぱり英語で行う。すると当然子供は英語優先の頭になってくるわけだ。子供をインターにやるような親で英語が全くできないのは稀だから、子供が家で英語を話せば「母国語を話しなさい」とせっつくのも面倒なので一緒になって親も英語で話す。そして子供が現地語の授業を真面目に聞かず、英語の交流ばかりに耽溺していれば、母国語が話せなくなるぴったりの環境が出来上がる。
そんなふうに、幼稚園からずっと母国にいながら中学・高校になっても母国語が片言レベルの学生をたくさん見た。別に親がそばにいないとか子供の母国語が喋れないのではない。単なる親の怠惰から、せっかく本に齧りつかなくとも習得できる言語を学習する機会を失ってしまったのだ。

大人でも、そんな機会を自ら手放している人間をたくさん知っている。アメリカに30年も住んでいながら、英語の全く出来ない親の知人。日本に20年以上住んでいながら、日本人と意思疎通が侭ならない叔母。しかし逆にその機会をうまく捉えた者は、「日本語がお上手ですね」どころかたとえば逆に「ドイツ語がお上手ですね」と日本人に褒められてしまう(母語がドイツ語なのに、である)までに上達している。ちょっと学習したいと思うだけで、どこかに1週間も旅行に行けば、その国の言葉で「これいくらですか」とか「水を一杯ください」くらいは言えるようになるもの。10年経ってそれすらできなかったら、ずっと引きこもっていたのかと思わざるを得ない。
国外に居住する時、確かに母国民の集団を知っているというのは心強い。しかし彼らに頼ってばかりいるのも考えものだ。必要なときだけ彼らに頼り、言語的な自立心を培う事が重要である。

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Irony, Satire and Truth

Biography

北落師門

Author:北落師門
特徴: 研究者気質(何)、厭世家、人嫌い、典型的ブックワーム。
大量の学問だけで出来ていると思う。詭弁と皮肉で武装している。
目の悪さが半端ない。あと、電話と食事と世間話が天敵。
Detail/本棚

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