InAequabilitas

Date : 2010年09月

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思っているより他人は傷付かない

この間両親の知人(日本人)の個展もどきがあり、それの開幕パーティー(?)に両親に引っ張り出された。日本人の展覧会だから日本人が大量に来る。両親、特に父親が芸術業界ではそこそこ偉いらしく、みんなついでに僕の所にやってくる。心から来て欲しくないのだが、来る奴らもそこそこ偉いので、同輩にやるように「来るな」とも振り払えない。仕方ないので最低限の握手を配給し(他人と体が触れ合う動きなら何でもかんでも苦手なのだ)、最低限の話をして(世間話は天敵だ)、すたすたと逃げ出す。

面白かったのが日本人とそうでない人々の世間話の話題の違い。日本人でない人々は、その場で思いついた事をいきなり訊ねてくる。「日本と母国とどっちが好きか」とか。「どっちも嫌いだが慣れているものだから無性に悔しい」と言うと驚いたような顔を見せる。社交辞令がどうしても駄目な理由のひとつはここにある。当たり障りのない回答ができず、嘘がつけないからである。

日本人はといえば、何と全員が「お元気ですか」で始めるのだ。「そうでもないですね」と事実を言うと「えっ」とこれまた驚いたような顔を見せ、言葉に詰まってしまう。そこが一番面白い。「お元気ですか」と聞いて「そうでもないですね」と言われた場合の返答を用意していないからだ。後から母が「馬鹿ねえ、こういうときは『お陰様で』って答えるのよ」などと耳打ちしてきたが、名前も顔も忘れているか知らないかという人間に何の世話になっているというのか。僕にもいろいろな人が「お陰様で云々」と宣ってくるのだ。「何もしていませんよ」と大真面目に言うと「いえいえ」なんてにこやかに返される。もう降参である。

そして会話の締めくくりは「頑張ってね」。全く前の会話と繋がらない意味不明な「頑張ってね」もまた厭になるもの。もう終った会話なので、去ってゆく相手を捕まえて「何を頑張れというのですか」と真面目に問い質すことも出来ず、ただただ困惑して突っ立っていることしかできない。実にやるせない時間隔であった。

そこら辺に寄り掛かって本を読んでいれば「どうしたの、何か食べる」となんともヤサシイ人々が押し掛けてきて「いえ、食べたくないし飲みたくないです」というと「遠慮しなくていいんだよ」と山盛りの食料を持ってきてくれる。実に迷惑なんですが。これに限っては日本人ばかりでもないのだが。

たとえば僕が「何か食べる」と言われて「えっと」などと口ごもってしまったなら、その後勝手に食べ物を持ってきてくれる人々を<迷惑>と切り捨てるのは傲慢であるが、はっきりと「要らない」と言ったのにまた持ってくるのは僕の非ではないはずだ。人を思いやっているふりをしながら果たして本当に思いやっていると言えるのだろうか。

前まではたとえば「何か食べる」と言われて「食べたくないし飲みたくない」と答えたら相手が<傷つく>のではないかと思って(何で傷つくのかよく判らないが、自分の好意がむげにされたようで悲しいのだろうなあと推測)、ぼそぼそと「では少し頂きます」とか答えていたのだが、去年の秋からそう言う事は一切やめる事にした。また、同輩ならば話しかけてきたら「話すのは嫌いだ」または「人間は嫌いだ」と冷たく返す事にし、とにかく全ての<自分の意志に反する回答>と<(善意であれ悪意であれ一切の)嘘>をやめたのだ。どうしてもそうしなければならない状況に置かれたら沈黙しているけれど(笑)。

そこで気づいたのが、<誰もそうそう傷ついたりしない>らしいという事実である。むしろ他人はこちらが思うよりずっとふてぶてしい。世渡り上手は引っ込むどころか更に侵害しようと企んでくる。「話すのが嫌いだ」と言われて「そうですか、すみません」という者も少数で、ほとんどが「え、面白い、じゃあ喋らせてみよう」などと変に力んで座り直してしまうのだ(!)。悲しい事に、結果として人間を駆逐することには部分的に成功したが、主動的に話しかけてきた人間には一段としつこく居直られる羽目に陥った…。

ポイントは<全員に平等に接する>ということ。Aには優しくしかしBには冷たく応対していたら、Bが「冷たくされた」「厭な奴」と思うのは当然だ。しかし全員にならどんなに冷たくしても、「あいつはそういう奴なのだ」という<無関心な優しさ>で見てくれるようになる。今はどれくらい諦められているかというと、名前を呼ぶと大喜びしてもらえるくらいになってしまった(苦笑)。

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Irony, Satire and Truth

Biography

北落師門

Author:北落師門
特徴: 研究者気質(何)、厭世家、人嫌い、典型的ブックワーム。
大量の学問だけで出来ていると思う。詭弁と皮肉で武装している。
目の悪さが半端ない。あと、電話と食事と世間話が天敵。
Detail/本棚

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