InAequabilitas

Date : 2010年06月

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性善説と性悪説-精察

人間は性善とも性悪とも言えないような気がする。ロンブローゾだったかフロイトだったか、「子供は犯罪者として生を受ける」と言った学者(性悪説の典型だな)もいれば、孟子のように「人皆有不忍人之心(人間にはみな、他人の不幸を見るのを忍びない心がある)」と言った者もいる。(ちなみに孟子は「無惻隠之心、非人也(同情心の無い者は人間ではない)」とまで言い切っている。僕は人間否定されたわけか…)
もちろん両方が混ざっているのだとか、すべては学習されるのであるという立場もある。僕も「学習される」という言い方には賛同するが、それは善悪の基準だけが学習されるということだ。
そもそも善悪というものは社会によって変動する。善悪は法律か、というとやはりそうではない(どの国の刑法にも規定されているものは道徳の最低限度だと言えようが)。そうすると善も悪も何にでもなれるということになる。当然人間の本性の線引きにも影響が出る。

では人間が何も計算しないで行動するとき(別に向こう見ずとかいう意味で使っているのではないよ)、何がそれを動機づけるのか。僕はそれを好奇ではないかと思っている。
たとえば上記にひいた孟子の言葉はすべて「論四端」という文章から取ったのだが、彼が人間が性善であると証明するために挙げた例は「今人乍見孺子将入於井、皆有怵惻隠之心(もし人が突然、井戸に落ちそうな子供を見たとしたら、きっと心配したり同情したりするに違いない)」、つまり「助けにいくだろう」というものである。なんで同情なのかよく解らないが置いておくとするが、その後にすぐ「非所以内交於孺子之父母也、非所以要誉於郷党朋友也、非悪其声而然也(その子供の両親と知り合いだからではなく、近隣住民に褒め称えられたいからでもなく、また人から悪く言われるのが嫌だからでもない)」と続く。
そうだろうか。いや彼にとってはそうだったのかもしれないが、僕は単純に「あ、子供が落ちそうだ。どうなるんだ」というぼんやりした好奇心からその子供に近づいていくのだと思うのだが。

また人間の本性を考えるなら、やはり子供を行動者にしたほうが解りやすい。たとえば年端も行かぬ子供が納屋か何かに放火して凄まじいことになった場合(例が過激だが)、性悪説論者からすればほら、人間の本性はやはり悪なんだ、という事になるだろう。しかし子供が「火って面白い。点けたらどうなるんだろう」という好奇心からそんな事故を起こしたというのはまさに火を見るより明らかである。(うっ、善の例が思いつかない…!)
そしてそんなことをすれば当然おかあさまにお尻ぺんぺんを食らい、或いはおとうさまに拳骨を食らう。子供は「これこれこういうことをすると痛い目に会う=悪い事である」と学習する。子供は痛い目に会いたくないのが普通なので、学習された「悪い事」をなるべく繰り返さないようになる。また「良い事」をすれば飴玉だのiPodだの(いや、最近はガキでもiPhoneとかiPadすら持っている奴も珍しくなくなった)をもらえる。するとそれは「これこれこういうことをすると得する=良い事である」と学習される。そして大きくなるにつれ「悪い事/良い事」分類ファイルが肥大し、「常識」というものに変貌していく仕組みというわけだ。

人間を最も速く動かす原動力は何か。反射と好奇のふたつのみではないか。
人間から好奇は奪えない。「我々にできない唯一の事は、我々に理解し得ないことを無視することだ」とは、ルソーの言である。

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数時間前に子供が轢き殺された道路を僕は歩いている。屋上から飛び降りた男が叩き付けられた地面を幸福そうなアベックが行き交う。僕がバスの前に飛び出した交差点を無数の車が通り過ぎていく。君が心地よい眠りから目覚めるとき、どこかで末期癌患者が激痛に喘ぎながら事切れていく。
死は決して身を潜めたり、息を殺してなどいない。死はいつも隣にいる。

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性善説と性悪説

人間は性善であるか性悪であるか。中国哲学において延々と議論され続けた話題であるが、結局答えは出ていない。僕としてはどちらでもないではないのかと思う。人間の本質は善悪などではなく、ただ好奇のみではないか。
あと少しでやっと一年が終了だ(日本と違って)。それからじっくり考えることにしよう。

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Irony, Satire and Truth

Biography

北落師門

Author:北落師門
特徴: 研究者気質(何)、厭世家、人嫌い、典型的ブックワーム。
大量の学問だけで出来ていると思う。詭弁と皮肉で武装している。
目の悪さが半端ない。あと、電話と食事と世間話が天敵。
Detail/本棚

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