InAequabilitas

Date : 2009年07月

CURRENT MOON

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手錠と法廷

この記事。笑った。

「気にしませんからやりましょう」、か。いい人だ(笑
というか、右手を外したところでもう「拘束されていない」状態に近いんじゃないかとも思うのだが…まあ、法的には拘束は拘束だな。

それにしても何故マスコミは「被告」にこだわるのであろう。「人」一文字つけたって別に変わらんじゃないか。
元裁判官の井上薫氏はこんな話を紹介されている。

井上氏が民事裁判の法廷に立ったときであった。当然裁判長だから被告のことは被告と呼ぶ。「では、被告…」
なんだか反応がないので見てみると、その被告の老人はステッキを振り回している。怒り狂っているのである。罪を犯したわけでもないのに「被告」と呼ばれたことにブチギレしたらしい。
井上氏が「これは法律用語で」とか「刑法のは被告ですよ」とか散々なだめたが老人の怒りは収まらない。仕方がないので、その法廷では名前で呼ぶ事にした。

こんな事も実際にあるのだ。マスコミ用語の「容疑者」、「起訴事実」、他にもあるけど裁判員制度も始まったんだし、正式なほうを使った方がいいと思う。僕だって小学校卒業するまでは被告と容疑者が正式名称だと思い込んでいた。そうだ、教育にも影響が(考え過ぎだ

そう言えば、結構真面目な服を着た被告人がサンダル履きで入ってくるとギャップに笑う。あれ止めればいいのに…。
京都地裁に傍聴に行った時、冒頭陳述のなかの被告人の脅し文句(恐喝だった)がみんな京都弁でちょっと可愛かったのを思い出した。それにしても京都地裁は法廷が綺麗だった…。目の前が京都御所だったりもするし。
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カフカ寓話―走り過ぎる者たち

夜、狭い通りを散歩中に、遠くに見えていた男が―-というのは前が坂道で、明るい満月ときている―まっしぐらに走ってくるとしよう。たとえそれが弱々しげな、身なりのひどい男であっても、またそのうしろから何やらわめきながら走ってくる男がいたとしても、われわれはとどめたりしない。走り過ぎるがままにさせるだろう。
なぜなら、いまは夜なのだから。前方が上り坂で、そこに明るい月光がさしおちているのは、われわれのせいではない。それにその両名は、ふざけ半分に追いかけ合っているだけなのかもしれないのだから。ことによると二人して第三の男を追いかけているのかもしれないのだから。先の男は罪もないのに追われていて、背後の男が殺したがっているのかもしれず、とすると、こちらが巻き添えをくいかねないのだから。もしかすると双方ともまったく相手のことを知らず、それぞれがベッドへ急いでいるだけなのかもしれないのだから。もしかすると夢遊病者なのかもしれないのだから。もしかしたら先の男が武器を持っているかもしれないのだから。
それにそもそも、われわれは綿のように疲れていないだろうか。少々ワインを飲みすぎはしなかったか。第二の男も見えなくなって、ホッと胸をなでおろす。

追記は原文

カフカ寓話―皇帝の使者

伝わるところによると皇帝はきみに―一介の市民、哀れな臣民、皇帝の光輝のなかではすべもなく逃れていくシミのような影、そんなきみのところに死の床から一人の使者をつかわした。使者をベッドのそばにひざまずかせ、その耳に伝言をささやいた。それでも気がかりだったのだろう。あらためてわが耳に復唱させ、聞きとったのちコックリとうなずいた。そして居並ぶすべての面々の前で―壁はことごとく取り払われ、たかだかとのびてひろがる回廊をうめつくして帝国のお歴々が死を見守っている―その前で使者を出立させた。
使者は走り出た。頑健きわまる、疲れを知らぬ男である。たくましい腕を打ち振り、大いなる群れのなかに道をひらいていく。邪魔だてする者がいると胸を指した。そこには皇帝のしるしである太陽の紋章が輝いていた。身も軽々と使者は進んでいく。群衆はおびただしく、その住居は果てしない。広い野に出れば飛ぶがごとくで、きみはまもなく、きみの戸口をたたく高貴な音を聞くはずである。
だが、そうはならない。使者はなんと空しくもがいていることだろう。王宮内奥の部屋でさえ、まだ抜けられない。決して抜け出ることはないだろう。もしかりに抜け出たとしても、それが何になるか。果てしのない階段を走り下らなくてはならない。たとえ下りおおせたとしても、それが何になるか。幾多の中庭を横切らなくてはならない。中庭の先には第二の王宮がとり巻いている。ふたたび階段があり、中庭がひろがる。それをすぎると、さらにまた王宮がある。このようにして何千年かが過ぎていく。かりに彼が最後の城門から走り出たとしても―そんなことは決して、決してないであろうが―前方には大いなる帝都がひろがっている。世界の中心にして大いなる塵芥の都である。これを抜け出ることは決してない。しかもとっくに死者となった者の使いなのだ。
しかし、きみは窓辺にすわり、夕べが来ると、使者の到来を夢見ている。

追記は原文

カフカ寓話―プロメテウス

プロメテウスについて四つの言い伝えがある。
第一の言い伝えによれば、彼は神々の秘密を人間に洩らしたのでコーカサスの岩につながれた。神々は鷲をつかわし、その鷲はプロメテウスの肝臓をついばんだ。しかしついばまれても、ついばまれても、そのつどプロメテウスの肝臓はふたたび生え出てきたという。
第二の言い伝えによれば、プロメテウスは鋭いくちばしでついばまれ、苦痛にたえかね、深く深く岩にはりついた。その結果、ついには岩と一体になってしまったという。
第三の言い伝えによれば、何千年もたつうちに彼の裏切りなど忘れられた。神々も忘れられ、鷲も忘れられ、プロメテウスその人も忘れられた。
第四の言い伝えによれば、誰もがこんな無意味なことがらには飽きてきた。神々も飽きた。鷲も飽きた。腹の傷口さえも、あきあきしてふさがってしまった。
あとには不可解な岩がのこった。言い伝えは不可解なものを解きあかそうとつとめるだろう。だが、真理をおびて始まるものは、しょせんは不可解なものとして終わらなくてはならないのだ。

カフカ寓話―使者

王となるか、王におつきの使者となるか、選択を申し渡されたとき、子供の流儀でみながいっせいに使者を志願した。そのため使者ばかりが世界中を駆けめぐり、いまや王がいないため、およそ無意味になってしまったお布れを、たがいに叫びたてている。だれもがこの惨めな生活に終止符をおちたいのだが、使者の誓約があってどうにもならない。

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Irony, Satire and Truth

Biography

北落師門

Author:北落師門
特徴: 研究者気質(何)、厭世家、人嫌い、典型的ブックワーム。
大量の学問だけで出来ていると思う。詭弁と皮肉で武装している。
目の悪さが半端ない。あと、電話と食事と世間話が天敵。
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