InAequabilitas

Date : 2009年07月

CURRENT MOON

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カフカ寓話―小さな寓話

「やれやれ」
と鼠がいった。
「この世は日ごとにちぢんでいく。はじめは途方もなく広くて恐いほどだった。一目散に走りつづけていると、そのうち、かなたの右と左に壁が見えてきてホッとした。ところがこの長い壁がみるまに合わさってきて、いまはもう最後の仕切りで、どんづまりの隅に罠が待ちかまえている。走りこむしかないざまだ」
「方向を変えな」
と猫はいって、パクリと鼠に食いついた。

追記は原文

カフカ寓話―禿鷹

それは禿鷹だった。私の足を抉りにくる。靴も靴下も食い破られた。いまや足に飛びかかっているのだ。くり返し襲ってくる。何度かせわしなく旋回したとおもうと、やおら舞い下りて抉りにかかる。このとき、一人の紳士が通りかかった。足をとめて、しばらく眺めていたが、やがて、なぜ我慢しているのかと言った。
「仕方がないではありませんか」
私はこたえた。
「追っぱらっても、すぐに舞いもどってくるのです。首をしめ上げてやろうともしたのですよ。でも禿鷹ときたら、なにしろ力が強いですからね。へたをすると顔をやられかねないのです。足ですめばいい方ですよ、もうあらかた抉られてしまいました」
「我慢することなどないじゃありませんか」
と紳士は言った。
「ズドンと一発、たちどころにけりがつくというものです」
「そうでしょうか」
と私は言った。
「ではひとつ、やってくださいませんか」
「よろしい」
と紳士は言った。
「鉄砲をとってきましょう。もう三十分ほど我慢できますか」
「さあ、どうですか」
私は苦痛でからだをよじらせながら言った。
「とにかく、おたのみします」
「よしきた」
と紳士は言った。
「急いでとってくるとしましょう」
このやりとりの間、禿鷹は私と紳士を交互にみながら、耳をすましていた。どうやら話がわかったようだった。さっと舞い上がったかと思うと、はずみをつけるために一度うしろへ飛びすさり、つづいて槍のようにくちばしを突き立て、私の喉深くとびこんできた。私は仰向けに倒れた。のどの奥からどっと血が噴き出した。みるみるあたりは血にあふれ、その中でもがく間もなく禿鷹が溺れていく。それをみて私はほっと安堵した。

追記は原文

カフカ寓話―掟の門

一週間毎日カフカの小編を載せ続けるという企画(嫌がらせ?)を行ってみる。


掟の門前に門番が立っていた。そこへ田舎から一人の男がやって来て、入れてくれ、と言った。今はだめだ、と門番は言った。男は思案した。今はだめだとしても、あとでならいいのか、とたずねた。
「たぶんな。とにかく今はだめだ」
と、門番は答えた。
掟の門はいつもどおり開いたままだった。門番が脇へよったので男は中をのぞきこんだ。これをみて門番は笑った。
「そんなに入りたいのなら、おれにかまわず入るがいい。しかし言っとくが、おれはこのとおりの力持ちだ。それでもほんの下っぱで、中に入ると部屋ごとに一人ずつ、順ぐりにすごいのがいる。このおれにしても三番目の番人をみただけで、すくみあがってしまうほどだ」
こんなに厄介だとは思わなかった。掟の門は誰にも開かれているはずだと男は思った。しかし、毛皮のマントを身につけた門番の、その大きな尖り鼻と、ひょろひょろはえた黒くて長い蒙古髯をみていると、おとなしく待っている方がよさそうだった。門番が小さな腰掛けを貸してくれた。門の脇にすわっていてもいいという。男は腰を下ろして待ち続けた。何年も待ち続けた。その間、許しを得るためにあれこれ手をつくした。くどくど懇願して門番にうるさがられた。ときたまのことだが、門番が訊いてくれた。故郷のことやほかのことをたずねてくれた。とはいえ、お偉方がするような気のないやつで、おしまいにはいつも、まだだめだ、と言うのだった。
たずさえてきたいろいろな品を、男は門番につぎつぎと贈り物にした。そのつど門番は平然と受けとって、こう言った。
「おまえの気がすむようにもらっておく。何かしのこしたことがあるなどと思わないようにだな。しかし、ただそれだけのことだ」
永い年月のあいだ、男はずっとこの門番を眺めてきた。ほかの番人のことは忘れてしまった。ひとりこの門番が掟の門の立ち入りを阻んでいると思えてならない。彼は身の不運を嘆いた。はじめの数年は、はげしく声を荒らげて、のちにはぶつぶつとひとりごとのように呟きながら。
そのうち、子供っぽくなった。永らく門番をみつめてきたので、毛皮の襟にとまったノミにもすぐに気がつく。するとノミにまで、おねがいだ、この人の気持をどうにかしてくれ、などとたのんだりした。そのうち視力が弱ってきた。あたりが暗くなったのか、それとも目のせいなのかわからない。いまや暗闇のなかに燦然と、掟の戸口を通してきらめくものがみえる。いのちが尽きかけていた。死のまぎわに、これまでのあらゆることが凝結して一つの問いとなった。これまでついぞ口にしたことのない問いだった。からだの硬直がはじまっていた。もう起き上がれない。すっかりちぢんでしまった男の上に、大男の門番がかがみこんだ。
「欲の深いやつだ」
と、門番は言った。
「まだ何が知りたいのだ」
「誰もが掟を求めているというのに―」
と、男は言った。
「この永い年月のあいだ、どうして私以外の誰ひとり、中に入れてくれといって来なかったのです?」
いのちの火が消えかけていた。うすれていく意識を呼びもどすかのように門番がどなった。
「ほかの誰ひとり、ここには入れない。この門は、おまえひとりのためのものだった。さあ、もうおれは行く。ここを閉めるぞ」

追記は原文

僕は報われない

紀元前の時代から数多の学者に造られた、
君の高潔すぎる美に、僕は激しく恋をした。
けれども君は高みから、つめたく僕を睨め付けて、
縋る僕には振り向かず、言の葉なしに逃げてゆく。
たった一度の抱擁で、科学の高みへ舞い上がる、
たった一度の口付けで、僕は世界を俯瞰する。
ああ、どうかせめて微笑んで、そうしたら僕は救われる、
それともずっとこのままで、虚しく慕うだけなのか。
こんなままでは終わらせない、君の愛を勝ち得よう。
僕はこの書と賭けをする、終わる事無き追究心。


御覧の通り、(純)高等数学に(かなりずっと)ひどく片思い中の僕である。本当に含みとか裏の意味とかないよ!むしろ生身の人間に興味を持たなさ過ぎるとこんな風に転移が行われるということが証明された(ぇ
それにしてもこんな悪戯な詩を書けたのは一体何年ぶりのことだろう…

数学に限った事ではなく、あらゆる学問の学び始めってみんなこんなだと思う。さすがに数学ほど嫌われてしまった学問はないんだけど(あっと、フェンシング・射撃・ビリヤードを除くスポーツ関係全般とは犬猿の仲)。
まず「どんなだろう」と思って近付く。そして深みが判ってくる。そうすると次には「もっと知りたい」の段階が来る。それでもただよく知っただけでは物足りない。そして「手に入れたい」と来るわけだ。人間に対するのと違うところは、近付き知る程幻滅するのではなくて知る程に惹かれていくところだろうな。あとは裏切られる心配がないとか(笑
追記は前の記事の問題の解答のようなもの。

数字の文字乗

十六夜さんのところで問題が出されているのを見習い(?)、僕も何か出題してみることにしてみた次第。
untitled
このとき3x+2y+zの値を求めよ。

大学入試の問題だったらしいんだが、中学数学のレベルで解ける。
解答は次に投稿する記事の追記にて…。

Irony, Satire and Truth

Biography

北落師門

Author:北落師門
特徴: 研究者気質(何)、厭世家、人嫌い、典型的ブックワーム。
大量の学問だけで出来ていると思う。詭弁と皮肉で武装している。
目の悪さが半端ない。あと、電話と食事と世間話が天敵。
Detail/本棚

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