InAequabilitas

Date : 2009年05月12日

CURRENT MOON

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夾竹桃

概要を知りたい方はこの記事。
詳細情報は強化版記事へ。


検索で来られた方々へ―
僕自身は夾竹桃自殺の失敗者です。無我夢中だったのでどれくらいかは細かく解りませんが、乾燥葉10数枚ほどでした。ですが、頻脈・運動失調しか起こらず、結局現在もぴんぴんしております。毒性が強いと言ってもこんなこともあります。もしかすれば嘔吐・疝痛で長時間苦しんだ挙句死ねないという事もあり得ますので、自殺などにはあまりお勧めできないかと。とか言いつつ、只今リベンジを企てております…。
前置きが長くなりましたが、それでは記事へどうぞ。

夾竹桃の花が咲く時分となりました。
この時期、夾竹桃の植物体に含まれる毒は最も強くなると言われています。
おや、話を急ぎ過ぎましたね。
本日は夾竹桃の毒成分のお話を致しましょうか。

夾竹桃はキョウチクトウ科キョウチクトウ属、インド原産の常緑大低木です。
葉は全縁で長披針形、先端も基部も尖ります。
長さは15cm程、長くなると30cm程にもなります。
またやや薄く革質で、多くは三輪生で稀に対生。
葉の裏には細かい窪みがあり、気孔がその内側に開きます。
気孔の周りには繊毛が生えており、これが有害物質を外へ押し出す働きをするのです。
この特性の為、夾竹桃は高速道路の生垣などとしてよく植えられます。
花期は7-10月で、花の色は白、濃桃、黄など、最近バリエーションが豊富です。
花弁は各々がやや曲がり、テイカカズラとは曲がり方が反対になっています。
径約4-5cm、基部が杯状になっています。
樹高3-4mに育ち、非常に丈夫な植物です。
実をつける事は滅多に無いので、挿し木で増やします。
挿し木の適期は、そうですね、丁度今頃が良いと思います。
切った枝を水に挿しておくだけで、根が出てくるという事をどこかで読みました。

さて、本題の毒成分に移りましょう。
葉にはオレアンドリン、アディネリン、ネリアチンなどを、
樹皮にはジギトキシゲニン、オドロシド、ステアリン酸などを含みます。
その他の部位にも、例えば花にも、全ての部分に毒があります。
乾燥させたものは大丈夫ですが、生木を燃やした煙を吸い込んでも中毒する可能性があります。
腐葉土になると毒性は半減するとも、また腐葉土になっても毒性はそのままだとも書かれていて、情報量は半々なのでどちらが正しいのか解りません。
使用する時は水洗いして汚れを落とし、日向で乾燥させて用います。
薬としても毒としても、有効成分は強心配糖体であるオレアンドリンがメインです。
オレアンドリンはアグリコン(オレアンドリゲニン)と糖(オレアンドロース)がO-グリコシド結合したものですが、
生葉中ではオレアンドリンが更に二糖(ゲンチオビオース)と結合し、2分子のグルコース(オレアンドリンゲンチオビオシド)として存在しています。
オレアンドリンゲンチオビオシドはオレアンドリンよりは毒性は少し低いようですが、
生体の消化管内でこれが酵素により切断されるとオレアンドリンとなります。

オレアンドリンはシアン化カリウム、つまり青酸カリをも上回る劇毒で、
ヒトでの致死量は0.30mg/kg、これは純粋な物質としての致死量ですが、
ウシの経口での半数致死量は乾燥葉50mg/kgという報告があります。
オレアンドリンの分子式はC32H48O9、分子量は576.73、mpは250℃です。
水には溶けにくいようですが、脂溶しやすいのは確かです。
熱には比較的安定しており、このような性質から多くの中毒事件が起こりました。

有名な事故ですが、フランスで夾竹桃の枝をバーベキューの串にして肉や野菜を焼いた11人中7人が死亡した例が存在します。
熱によって染み出したオレアンドリンが、肉の脂に染み込んだものと思われ、
また、96歳の女性が4gの夾竹桃を食して自殺を遂げた例もあります。
日本では、箸代わりに使った子供たちが死亡した事故もありました。
更に派手なところでは、アレキサンダー大王の軍隊もナポレオン軍も、また太平洋戦争時の日本軍も、夾竹桃の枝を焼き串や箸に使った事で多くの兵を亡くしました。

強心配糖体の感受性は、年齢が大きい程鈍くなるという性質があり、
薬にする場合、児童には成人の半分以下を処方しなければなりません。
薬としての強心配糖体はジギタリスに含まれるジゴキシン・ジギトキシンがよく使われますが、
その話は僕の気が向いたら、また今度いつか。

夾竹桃の中毒症状に移りましょう。
夾竹桃の枝などを折ると白い乳液が出てきますが、これに触れると皮膚炎を起こし、
汁がついた手で眼をこすると刺激され、涙が止まらなくなる事もあります。
経口で摂取した場合、オレアンドリンにはジギトキシンより強い催吐性がある為、
当然のように吐き気・嘔吐・疝痛・下痢・食欲不振が起こります。
これらは摂取後約1時間で現れます。
オレアンドリンは体内に入ると神経細胞の興奮・肝機能の低下・筋収縮を引き起こし、
他の中毒症状としては眩暈、冷や汗、頻脈、不整脈、運動失調、動悸があります。
別の本を見ると更に、四肢の麻痺、局所性チアノーゼ、黄疸、重症になると呼吸困難、卒倒、痙攣、瞳孔散大、昏迷、ショック、眠りを貪る、とあります。
どの書物にも共通するのは、心臓麻痺を起こして死に至るという部分です。



僕はトリカブトとキョウチクトウに惹かれます。
何故なら、僕に似ているから。
あなたが手を出さなければ、僕はあなたを害さない。
あなたは僕の劇毒に気付かず、僕はあなたを欺く為に美しい花を咲かせるだけ。
あなたが枝を手折るくらいならば、皮膚の炎症くらいに留めておこう。
でもそれ以上傷つけるのなら、僕はあなたを殺すことも厭わない。

鳥兜が高貴に佇む、薄暗い涼しい森が僕の安住の地、
でも過去の栄光を忘れた夾竹桃のように炎天下、汚れた空気に晒されて立っている。
あなたが僕を消し去ろうと火を点けるのなら、あなたも僕の道連れになるでしょう。

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北落師門

Author:北落師門
特徴: 研究者気質(何)、厭世家、人嫌い、典型的ブックワーム。
大量の学問だけで出来ていると思う。詭弁と皮肉で武装している。
目の悪さが半端ない。あと、電話と食事と世間話が天敵。
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