InAequabilitas

Date : 2009年01月

CURRENT MOON

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

オーケストラに思ったのは

しばらく海外に失礼していた。
ウィーン交響楽団のニューイヤー・コンサート行って来たよ。

いや、素晴らしい。お見事。
さすがだよ。何か権威論証みたいになって嫌だがでも事実だし。

チケットは知り合いからの貰い物だったんだが、見てみると何と…
最前列ですか!しかもほぼ中央ですか!
いいの?って訊いたら「うちは暇がなくなっちゃって」とのこと。暇で悪かったな!(笑

指揮のひとがいかにもシュトラウスの為の指揮者ですって感じでものすごく楽しそうだった。
打楽器と金管が良く見えなくて残念だったが、フルートが非常によく見えたのでよしとする。
途中で歌が入ってきたのがあったけどあまり上手くなかった。チャイコフスキーの某曲が何だかぱっとしなかった。
でもコンマスはああ。やっぱりコンマスだなあ。との感想。ソロでもっと聴きたいくらいだ。チェロとコントラバス、フルートの首席奏者もソロ希望。時折打楽器が遅れたりホルンが妙な音を出したりしたがそこは目を瞑る。アッチェレランドとかリタルダンドかかるときに誰か必ずズレてるのも知らないふりだぞ!

コンサート終わりに独りでいやに感慨深くなってた北。そうか、もう1年生きられたのか。
次の新年コンサートは聴けるかな。一年で唯一シュトラウスが好きになる日。
こんな僕でもこういうときだけは人間っていいなあと思う。作曲する人間、演奏する人間、果ては作曲なんかを考え付く人間がいなきゃ何も無かった。
音楽は英語とかよりずっと世界共通語なんだと思う。例えばクラシックが嫌いでもポップスは聴くというひともいるだろう。ロック、ジャズ、とにかくみんな嫌いというひとはいないはずだ。何かしら好きな「音」はある。

そうだ、コンサートで演奏以外に印象的だったのが、楽団員の表情。最前列で顔が良く見えてたからとりあえず観察。
はじめて出てきたときはかなり警戒的なかたい顔で観客を見回していた。でも1曲終わったときにはもう少し緩んでいた。最後の長い長い拍手の中で立ってたときは、みんな満面の笑顔。
最後の曲なんか、コントラバスの首席がもうにこにこしながら弾いてたよ。聴衆の手拍子が完全に交響体の一部になってた。指揮者がこっち向いて手拍子の指揮してたし。
あの群衆の空気は嫌いじゃない。ほかのときはあんなに人が集まってればもう逃げ出したくなるのにね。僕自身がステージや群衆の前に立つときも、それが音楽か天文に関することでありさえすればむしろ楽しい。
曲が終わって指揮者が手をふりあげる、そしてお世辞じゃない拍手。それだけでもう空気が解けていく。演奏は錠に油をさす、鍵をあけるのは終わりのその雰囲気。

宮沢賢治の表現を借りるが―僕は『心象スケッチ』は文学的創作より音楽的創作に頼っている。偉大な作曲家もみんなそうだったようだ。ありきたりなはなしだが、音楽は思考の伝達手段にもなり得る。
言葉、というのは勿論非常に優れた伝達手段ではあるが、「言葉で言い表せない」という言い回しがあるくらいで、不自由なところもある。それにストレートすぎていて、受け容れられないこともあるだろう。さいしょから拒絶的態度で出られたらもうどうしようもない。
けれど音楽は違う。聴く人によって理解が異なることもあるが、それもまたメリットかもしれない。それに音は無限だ。純音じゃないところまで含めて、そして和音、フレーズとかの組み合わせ。じじつ世界には全く同じ音楽なんか無い。楽譜があったって一回一回違う演奏になる。電子音楽とかはまた違うのかもしれないけれど。
作曲法を知らない?僕なんか未だにそんなもの読んだことも無いよ。むしろそれを知ってしまうと型にはまっちゃう気がして読めずにいる。

グレナドスというスペインの作曲家に関して、こんな話が残っている。
「さっき街を歩いてたらすごい美人さんに会ったんだ」グレナドスが笑って言う。友人たちは口々にきいた。「で、どんなだったんだ」「こんなに美人だったんだよ」そう言うとグレナドスはピアノの前に座り、さらっとメロディーを奏でた。聴き終った友人たちはみんなこう反応したという。「そうか、そんなにきれいなひとだったんだね」
音楽の描写性を顕著に伝える小咄じゃないか。

言語はそれを熟知していないと書いた人の真意は伝わらない。含み、婉曲、比喩とかは生半可な理解じゃ解れないし、読むのすら苦労してたらそんなところは話にだってのぼらないだろう。
聴いたことも無い音楽でも、ほとんど音楽が解らない人でも、せめてああ、これは楽しんでるなとか落ち込んでるぞとかは解るはずだ。楽しみ方にも落ち込み方にも(長調と短調だね)ちょっとずつ違いがあって、たとえばハ長調とヘ長調、フラットひとつで雰囲気はまるで違ってくる。速度、強弱、音色。
純音じゃなくてもいい。シンバル、太鼓、カスタネット、鈴、それらでも表現はじゅうぶん可能だ。あまり良く知らないので深い言及は避けておく。

人類なんて死に絶えちまえっておもう僕だけど、学芸は生き続けて欲しいとおもう。これってまあ、わがままだね。ひとがいないと生きていけないものだから。
わがままで何が悪いのさ?みんな何かしらわがままだよ、きっと。
開き直って―さて、ラヴェルでも聴くか。

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 思想へにほんブログ村 哲学・思想ブログへ

Irony, Satire and Truth

Biography

北落師門

Author:北落師門
特徴: 研究者気質(何)、厭世家、人嫌い、典型的ブックワーム。
大量の学問だけで出来ていると思う。詭弁と皮肉で武装している。
目の悪さが半端ない。あと、電話と食事と世間話が天敵。
Detail/本棚

Latest Articles

Comments

Trackbacks

Link

Categories

Search

 

Counter

Current Visitors:

Archives

Mail Form

Name:
Mail:
Subject:

Top

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。